すいか栽培で避けて通れない奴ら。
それは、害虫!
すいかは特に、アブラムシとダニがエグいんですなあ。
アブラムシ
はいこれ、アブラムシ。
キモいですね〜。
アブラムシはすいかの葉の裏に居座り、すいかの葉から水分を吸い取ります。
で、分泌液を噴射!
アブラムシが群がっている箇所はベッタベタになります。
当然葉にはダメージを与えるので、次第に枯らしてしまいます。
また、弱った葉には病気がつきやすく、放っておくと大変なことに。
ハダニ
さて、下の写真は正常なすいかの葉っぱです。↓
で、ご覧いただきたいのがこれ。
どうでしょう?
色がすっかり抜け、黄色っぽくなっちゃってます。
これが、ハダニに寄生された葉っぱなんです!
葉っぱを裏返して見るとこんな感じ。
めちゃくちゃ小さな黒い点が見えるでしょうか?
これ、ぜーんぶダニです!
すぐ防除したので写真のダニは死骸です。生きているものは体が赤く、すいかの裏に赤い斑点がびっしりついたように見えるんですね。
ダニは葉脈を食い破り、葉を内側から破壊します。
害虫に寄生されるとガチで焦る。
こいつらの一番恐ろしいことは、繁殖力が桁外れであることです。
僕の師匠は、「一箇所でも見つけたら、すでにハウス全体に広がってると思った方が良い!」と念を押します。
発見が遅れたり、対応が遅れてしまうと取り返しのつかないことになっちゃうんですよね。
すいかの葉が枯らされてしまえば、大きさも糖度もありません。
はっきり言って、最悪の場合全滅です。
だから害虫を見つけたらほんと焦りますね。
卵の状態で発見できたら、寄生された葉を取り除けば一時的に抑えることができますが、毎日点検しててもなかなか見つけられないものです。
見つけたら直ちに防除
使う薬品は農家さんによって様々です。僕らは「福賀すいか部会」を組織しているので、使う薬品は原則全て統一しています。
僕らはアブラムシに対してはダントツ、ダニに対してはサンマイトフロアブルを使用しています。
薬品を水に溶かして散布。
薬品の使用法をよく読み、普及所の指示をよく聞くようにしましょう。
福賀すいかの防除の決まり。
福賀すいか部会の生産者は全員が、山口県の定めるエコファーマーの認定を受けています。
僕らはすいかの収穫までに行なう防除の回数を2回と制限しています。
これは、山口県の他の産地で行われている防除回数と比べると半分以下なんです。
山口県では、農薬や化学肥料の使用量を50%以上削減した作物に「エコ50」の認定を出しています。
完全無農薬が良いってのもわかるけどさー。
最後にちょっと苦言。
無農薬栽培の作物が良い!っていう消費者心理は理解できなくもないです。
また、田舎で農業を始めたい人が無農薬で自然農法を実践したいっていう気持ちも、まあ分からなくはないです。
でもねぇ。
防除しなかったら全滅ですよ、全滅。
はっきり言って、完全無農薬栽培は初心者には無理です!無理!
プロでもかなり難しいでしょうね。
家庭菜園ならなんとかなるかもしれませんよ?ですが生計を立てられる規模の農地では管理が追いつきません。
全く害虫が出ないように栽培するのはとんでもない技術と設備が必要になるんです。
そしたら作物の値段上げないと採算合わないですよね?
とんでもなく美味しいから高いのならともかく、とんでもなく経費がかかってるから高いとか、ほんと、笑わせてくれますね。
例えば、アブラムシ防除の方法として、牛乳を水で薄めて散布するっていう方法があります。
乳脂が形成する皮膜を利用して窒息させるという理屈なんですが…
家庭菜園ならともかく、農業に持ち込むのは現実的じゃないですね。
僕と僕の師匠のハウスだけでも、合わせて52棟ありますから…
何ガロン用意すれば良いんでしょうかw
農薬を使わなければ美味しいなんて、そんなことはあり得ません。
害虫や病気から作物を守り、最後まで健康を保ってあげることで美味しくなるんです。
ちょっとヒートアップしちゃいましたが…w
僕は無農薬栽培を否定するつもりはありません。家庭菜園なら無農薬栽も可能でしょう。
葉物野菜はめっちゃ虫に食べられちゃいますけどw
家庭菜園と農業を一緒にしてはいけないんです。
農業初心者がここを踏み間違えると大失敗することになるので、ご注意を。