市場→量販店ルートしか頭にない農家はだんだん不健全になる。心が。

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昨年秋〜初冬にかけて、葉物野菜が軒並み値上がりしました。キャベツ、レタス、白菜、ほうれん草などなど。

台風の影響で多くの産地で不作だったことが原因だったようです。

僕は昨年のすいかシーズン終了後から、師匠と一緒にすいかの後作としてほうれん草を栽培していました。阿武町福賀地区は、生産量・品質ともに県内最高評価のほうれん草産地でもあるんです。

各地で損失を出した天候の影響はというと、福賀ほうれん草は幸いにもほとんど損失を出すことなく、ほぼ例年通りの出荷量でした。

そんなわけで、他産地が少なく高騰したほうれん草の価格が反映され、福賀ほうれん草は高値で取引されました。これは農協の市場担当者からの情報で、僕ら生産者は明細にも目を通してますので本当です。

他人の不幸を願ってる?

結果だけ見ると僕らはそこそこ儲かったのでめでたし、となる所なんでしょうが、どうもやっぱり、この構造が引っかかる。

これってつまりは、他所がコケると自分たちが儲かってハッピーってことですよね?w

これじゃあいつかは、人の不幸を願って農業するようになっちゃうますよね。自分たちの努力量は増やさなくて済むんだし。

自分たちで価値を構築できてない典型なんですよね。構造的に価値決定に参加できてないんです。そしてそれが当たり前になってる。

市場と量販店は複雑怪奇!

ところで量販店と市場と生産者って、実に微妙なバランス関係なんですよね〜。

もちろん基本的には、需要と供給のバランスです。

全体の出荷量が増えていけば価格は下がっていくし、不作などで出荷量が減ると価格は高騰します。

ただ、市場は量販店の顔色を伺いながら取引をするのも事実です。

最終的な出口である量販店が売るのを渋るようであれば、市場もそれに合わせた価格を設定します。そして量販店が渋る原因は、何と言っても「量が少ない」ということです。

量販店としては、ある程度量が確保できていないと売りづらいものですからね。量販店が喜ぶ範囲内でなら、量が多くても市場での価格が下がらない、むしろ量が多ければ市場を占有し高値を維持できるんです。

というのも、量販店が喜ぶような成績を出す産地は、市場が価格を保証してくれるようになります。量が多くても高値で推移するよう市場が頑張ってくれるんです。

ま、だからこそ、規模の小さな産地は市場というフィールドでは巨大産地に最初から勝てない戦いを強いられるわけですが。

福賀すいかは量販店に好かれない

量販店が喜ぶすいかとそうでないすいかがあります。僕らが作るすいかは圧倒的に後者ですw

10Kgを超える大玉を平気で作っちゃうもんだから、カット売りにしても売り場で場所をとっちゃいます。

そのせいで一度に売り場に並べる個数が減るもんだから、棚が品薄になるペースが早まり、品出しの手間が増えますね。そりゃ嫌がるわw

そして何より、絶対量が少ない。

現在僕らのすいかの出荷量は産地全体で見ても1万玉に届きません。生産農家も少ない上に一株一果なんでしょうがないです。

かつて、僕の師匠が事故で入院し、福賀すいかの出荷量が大幅に減った年があったそうです。結果、市場を通じて契約していた萩市の量販店から蹴られてしまいました。阿武町のお隣、萩市には福賀よりはるかに出荷量の多いすいか産地があるので、僕らは二の次でよかったんです。

結局、小さな産地は巨大産地と同じフィールドにいる限りは、努力以前の問題で仕組み的に勝てないんです。

それなら自分たちの価値を証明できるルートを開拓するしかないです。そうすれば他人の不幸を願わなくて済むし、最初から勝てない勝負で消耗することもないんですから。