田舎暮らしそのものを「体験型商品」として売り出す動きは各地でちらほらありますよね。
これからの時代、なんでも商品になると思うので、体験型商品っていうのもじゅうぶんアリだとは思ってます。
目次
「農泊」で田舎暮らしをビジネスに!
6/10の日本農業新聞にも取り上げられていました。
「農泊」が熱い。中でも訪日外国人をターゲットに、農山漁村に呼び込む動きが注目を集める。地方創生の目玉として政府も支援し、農業白書にも大きく取り上げられた。農業者の所得向上と地域貢献を目指すJAグループにも出番がある。積極的な関わりを期待する。
農村が体験型観光と銘打って、都市部から子どもや家族連れを対象に交流事業を展開する動きは昔からあります。
いわゆる都市農村交流、グリーン・ツーリズムってやつですね。
これまでのグリーン・ツーリズムは「食農教育」という側面が強く打ち出されていましたが、いま注目されている「農泊」は、体験そのものに「商品価値」を持たせ、ビジネス色を強く押し出して行くものなんですね。
そして狙い目とされる層は、訪日外国人旅行者なんだとか!
同じ記事の引用をもう少し。
観光庁の調査によれば、2016年の訪日外国人旅行者のうち農泊を体験した人は6・9%。だが次回の旅行で農泊を希望する割合は16%もあった。訪日回数が多いほど地方に出向く傾向も見られ、農泊マーケットの拡大が期待される。政府は20年までに訪日外国人旅行客を4000万人にする目標を掲げる。仮にその1割でも農村に出向けば、400万人の農泊マーケットが出現する。
なるほど、うまくハマればそれなりに田舎は潤うのかな。
田舎暮らしビジネスの落とし穴① 「農業の暮らし」と「農のある暮らし」の違い
https://twitter.com/crfmuc0nd/status/1010844581779288064
おそらくですが、この「農泊」で想定されてる風景って、「農のある風景」だと思うんです。
朝早く起きて、少し畑に出て収穫なんかしちゃって。
その野菜を使って美味しい朝ご飯なんて食べちゃったりして。
日中も畑仕事で汗流して、外でおにぎり食べちゃったりして「格別〜!」的なこと言って。
やっぱり宿泊は古民家でしょうね!
とまあ、こんな感じでしょうか。w
いや、全然ダメじゃないんですよ。
むしろ、外国人にも、都会の日本人にもそれなりにウケると思います。
ただ、これをいますぐ、「農家」である僕が実現できるかと言われれば…
梅田将成
「農家でしょ?畑持ってるんだからできるんじゃない?」とか、言わないでください!
僕は農業で生計を立ててます。作物の出来に生活がかかってます。
いきなりやって来た人に、農作物初めて触るような人に、生活がかかってる畑仕事をやらせるわけないじゃないですか!w
これが、「農業の暮らし」と「農のある暮らし」との間にある強烈な隔たりなんですね〜。
バイトとして働きに来た人にならともかく、「農作業体験」のつもりで来た人に、いきなり畑を触らせるのはおっかないというのが農家の本音です。
そして繁忙期なら、手取り足取りかまってあげる時間もありません。
農泊を実現可能な条件はあくまで「農のある暮らし」です。
それは農業ではなく、家庭菜園の延長線上にあると言っていいでしょう。
広い家庭菜園を持っているか、農業とは別の考え方で体験用の菜園を準備できるような人なら、農泊を売り出す方法はあるかもしれませんね。
田舎暮らしビジネスの落とし穴② 田舎にはびこる”安売り根性”
田舎の「安売り体質」も危険。
小さな田舎は、規模感を考えれば多売できないんだから、高単価でも成立させる「営業」を考えないと。— 梅田将成@山口県阿武町🍉ブログ開始! (@crfmuc0nd) 2018年6月24日
「安い」ということは、田舎の魅力である一面があります。
それは否定しません。
「これ、東京だったら〇〇円はするのに!」
こういう、都会とのギャップが魅力的なのはよくわかります。ぶっちゃけ田舎にいると食べ物で優越感得られますから。w
でも、それは赤字を正当化する理由にはならないですよ!
特に食べ物に関しては、赤字が蔓延するのを見過ごして、とんでもない価格で売っている現場が田舎にはたくさんあります。
もちろん買い手は喜びますが、全てのしわ寄せは生産者に。
売れば売るほど、田舎が消耗していく構造ができているんですね。
田舎側も良かれと思って自分たちの首を締めてるもんだから、なかなかこの構造から抜け出せません。
盛り上がりつつある農泊も、客単価に配慮しないとエライことになりそうな予感。
田舎は薄利多売じゃ勝てない!
そりゃそうですよね。
だって”多売”できないんだから!
田舎で取り組めるビジネスの規模では、はっきり言って物量で押し出すなんて不可能です。
安売りしても多売できるなら売り上げは確保できます。
でも、多売できない田舎では、自動的に薄利少売になってしまうんです。
結局、田舎がビジネスで勝っていくには、単価を高めるしかないんです。
そして、その高単価を成立させるための「営業」をしていくしかないんです!
まあ、これが一番大変なことだと、書きながら痛感してます。w
自分事で言えば、スイカの価格を上げることはおろか、現状でキープするだけでもかなりの熱量が要りますから。
でも、ここを考え続けないと、田舎の未来はたちまち閉ざされます。
客単価を高めた田舎ビジネスの好例
例えばオーベルジュなんて素敵だなあと。
オーベルジュとは、フランス発祥の「宿泊機能を備えたレストラン」です。
その仕様は高級志向のものが多く、客は単価の高さ相応のプレミアム感を得ることができます。
100円を1万人に買わせるビジネスではなく、1万円を100人に使ってもらうビジネスモデルを成立させてます。
商品を磨き、惹きつけるような売り方ができれば、田舎でもちゃんとビジネスできるんですね!
勇気でるなあ。
田舎でビジネスしたいなら、消耗せずに勝ちに行けるルートを探りましょう!