田舎に来る人はいる。働くことに意欲だってある。でも受け入れる農家が未熟です!

僕らはこれからの暮らし方、働き方の提案として、「短く働く」をテーマに援農の実験を役場と協力して行っています。

判を押したように「移住」「定住」を叫ぶのではなく、田舎での暮らしへの間口そのものを広げ、新たな生き方の選択肢を提案できるまちづくりを目指してるわけですな。

援農について考える地方移住を検討中の人へ。援農という新しい生き方を提案する。

新しい働き方、について考えていくわけですから、当然田舎での仕事の充実がこれから必須なわけで。

僕ら農家は特に考えていかなければなりません。生き残りがかかってます。

家内労働では行き詰まる。

昔ながらの農家といえば「家内労働」がスタンダードです。

家業を支えるご主人がいて、奥さんがいて、そのお父さんやお母さんがいて。

やがて息子や娘が結婚して後を継いで、みたいな感じですね。

家内労働の良い所は、世帯収入が減らないことです。

他人を雇えば、その人にかかる人件費を出さなければなりませんが、全て家族内でのことならその心配もありません。

高齢の両親が作業を手伝う場合は、ほぼ無賃で働いているケースも珍しくありません。

かなり経費の抑えられた労働力を投入しているのが家内労働なんです。

一見すると経費も抑えられていて、利益率が良いように思える家内労働ですが、それはごく短期的な目線での話。

長期で考えれば限界があることは明白です。

こういうこと言うと「デリカシーがない」とか言われそうですが、

一緒に働いている高齢のご両親はいつまで働けるのでしょうか?

自分たちの子どもは将来的に家業を継ぎたいと、必ずしも思ってくれるでしょうか?

これは長期的視線で20年くらい先までを見据えたら必ず見えて来るリアルな問題です。

ここから目をそむけるわけには行きません。

まだ家内労働で消耗してるの?

ってどなたかに突っ込まれそうですwww

「人を雇う」という経験が少ない。

6/21の日本農業新聞から引用。

農業の労働力不足解消に向け、青森県はJAグループ青森と連携し、農家の雇い入れ研修や農作業未経験者を対象とした実践講習に乗り出した。農家に求人のノウハウや雇用保険、労災保険などの労務管理を学んでもらう一方で、農作業未経験者が講習する研修農場を設置。無料職業紹介の募集サイトも開設し、新たな労働力を掘り起こす。

家内労働を慣習としてきた農家は、誰かを雇うということに対してほとんどノウハウがありません。

契約書の作り方、労災保険の掛け方など、一般的な企業が当たり前のようにやっていることができない農家も多いです。

こんなんだから、賃金設定がトンチンカンだたり、べらぼうに働かせたりして、「キツい」とか「稼げない」とか言われちゃうんです。

もちろん、いくらを以って稼げるとするのかは怪しいし、賃金だけではない魅力が田舎の仕事にはあるので一概には言えませんが。

要は落とし所と、農家に「バイトを夜遅くまで拘束せずに仕事を回す”段取り力”」があるかどうかという問題ですね。

結局この辺りの「前提の準備」がうまくいかず、働き手とトラブルになる農家もいるようですね。

これはかなり勿体無いです。

シーズンワークを繋ぎながら旅人のように働く層は常に一定数存在しており、これからもっと増えていくでしょう。

それだけ、生き方や働き方は多様になっているんです。

これからの時代、援農のように、シーズンワークとして短期で人を呼び込むことはおそらく当たり前になって来るはずです。

そんな中で、雇い主とシーズンワーカーとの間に「契約面でのしこり」が有るようでは先が思いやられます。

即座に「ダメな職場」の烙印を押されて人を呼べなくなっちゃいますね。

新聞の記事によると、JAが農家に対し求人ノウハウの指導をしているようですね。

JAがどこまで優秀かは地域によってかなり差があるので何とも言えませんが、w

でもこれは動いた者勝ちな側面があります。

危機感持っていち早くスキルを身につけた順番に生き残っていけると言っても過言ではないでしょうね。

投資に値する出口を考える。

もちろん、人件費をかけるだけかけて、全体の出荷量や出荷額が変わらないのなら増やした人数分ほど食い合ってしまうので意味がありません。

労働力を投入して人件費をかけるのは「投資」ですから、それに値するものを出口に用意しておく必要があります。

作付け面積を増やして出荷量を増やしたり、より手間をかけて作物の品質を向上させ単価をあげたり、加工品の製作で付加価値を与えたり。

販売モデルそのものを考えていくことも大事ですね。

逆に言えば、ここまで考えていかないと農家は人を雇うことすらできず、家内労働の世界から抜け出せないんです。

作るだけじゃダメなんですね。

自分の商品を作り、魅力的に仕上げ、惹きつけるように売っていく。

簡単に言うけどこれが難しい。w

けれど生き残っていけるのは、この努力を惜しまない「カンパニー的農家」なのかなあと思う今日この頃。

こういうマインドを持った農家が増える地域には、きっと黙ってても人が来るんですよね。